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チップキャパシタのキャパシタンス

チップキャパシタ(チップコンデンサ)のキャパシタンス(容量)をEEM-FDMとEEM-STFで計算し、結果を比較します。
図1はEEM-FDMでの計算モデルです。
誘電体の両端を端子電極ではさみ、誘電体の内部に交互に5枚の電極板が配置されているものとします。 誘電体の大きさを2.0mmX1.0mmX0.6mm、電極板の大きさを1.8mmX0.6mm、電極板の間隔を0.1mmとします。
EEM-FDMでは計算を行うには給電点が必要であるために、図1のように端子電極をループ給電線で つなぎ、その一点に給電点を置きます。セルサイズ=0.05mmとします。
周波数を十分低くし(f=100-500MHz,物体の大きさ<<波長)、低周波に適した周波数領域差分法で計算します。
このとき、入力アドミッタンスはほぼ虚数となり、その虚部(サセプタンス) B=2πfCからキャパシタンスCが求められます。
図2が入力アドミッタンスの周波数特性です。虚部が周波数に比例することがわかります。 その傾き ΔB/Δf=3.8e-11[S/Hz]から、
C = (1/2π)ΔB/Δf = (1/2π) 3.8e-11 = 6.05[pF]
となります。
なお、計算時間は1周波数につき150秒です。

図1 EEM-FDMでの計算モデル

図2 入力アドミッタンスの周波数特性(EEM-FDM)

図3 Y=0面の電界分布(EEM-FDM)
図4はEEM-STFでの計算モデルです。
形状は図1と同じとします。EEM-STFでは、EEM-FDMで必要であった給電線と給電点は不要です。 代わりに、端子電極に0Vと1Vの電圧を設定します。
EEM-STFで計算すると、sol.logファイルに電荷量 Q = 4.39e-12[Coulomb] と出力されます。 これから、キャパシタンスは、
C = Q / V = 4.39e-12 / 1 = 4.39 [pF]
となります。
なお、計算時間は3秒です。

一方、キャパシタンスの公式からは、
C = ε0 * εr * 電極面積 * (枚数 - 1) / 電極間距離
= 8.854e-12 * 10 * (1.6e-3 * 0.6e-3) * 4 / 0.1e-3 = 3.40 [pF]
となります。
実際は、電界の一部が電極外に出て電極の有効面積が大きくなるため、 キャパシタンスはこれより少し大きくなります。

以上から結論として、本モデルではEEM-FDM,EEM-STFのどちらでも計算できますが、 計算精度、計算時間の両面からEEM-STFの方が適しています。
◆入力データ:EEM-FDM用、 EEM-STF用:sampleのchip_capacitor.stf

図4 EEM-STFでの計算モデル

図5 Y=0面の電圧分布(EEM-STF)

図6 Y=0面の電界分布(EEM-STF)