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EEM最適設計ツール

1. 概要

アンテナ設計などで、最適化すべきパラメータの数が増えると、手作業による逐次的な最適化は 不可能になり、なんらかの最適化ツールが必要になります。
本ツールは、最適化手法の一つである滑降シンプレックス法(downhill simplex method) をEEM-FDMまたはEEM-MOMに適用して最適化を行うものです。
本ツールを使用するには、C言語の初歩的なプログラミングが必要になります。
取扱説明書ダウンロード(PDF)

2. 最適化アルゴリズム

最適化すべきパラメータの数をNとすると、N次元空間の極値を求める問題になります。
シンプレックス(単体)とは、N次元空間の基本図形(2次元では3角形、3次元では4面体)で、 N+1個の頂点を持ちます。
滑降シンプレックス法は、N次元単体の頂点の関数値をもとに単体を移動、変形させながら 最適値を求める手法です。
最適値の範囲がある程度予想できるときに、少ない反復回数で最適値に到達できる手法です。
詳しくは、参考文献 W.H.Press他(丹慶他訳)"Numerical Recipes in C",技術評論社,1993
本方法は初期値によって結果が決定論的に決まりますので、初期値のとり方が重要です。
ここで、初期値とはN個のパラメータを持つN+1個の集合(初期単体)です。
本ツールでは、乱数を用いて多数の初期値候補を作成し、この中から特性のすぐれたN+1個 を選び、これを初期単体(初期集合)とします。

3. 作業手順

(1)最適化パラメータ設定
最適化すべきパラメータとその予測範囲を決めます。
(2)パラメータ入力ルーチンの編集
パラメータをEEM-FDM/EEM-MOMに入力するプログラムを作成します。
(3)評価関数ルーチンの編集
最適化のための評価関数を計算するプログラムを作成します。
最適化すべき特性(後述)とその重みを考慮します。
(4)コンパイル・リンク
(2)(3)で作ったルーチンとEEM-FDM/EEM-MOMをコンパイル・リンクして実行プログラムを作ります。
(5)実行
計算を実行します。
計算を調整するパラメータとしては、初期値の集合の数と乱数の種があります。
パラメータの数が少ないとき(=2-4)は数十回、 パラメータの数が多いとき(=5-10)は数百回で収束します。
(6)EEMで結果確認
(5)で出力される最適パラメータをEEM-FDM/EEM-MOMで読み込んで計算し、詳細な特性を確認します。
結果がよければ最適化終了です。
改良の余地があれば、(1)(2)(3)(5)のいずれかに戻って繰り返します。

4. 最適化項目

以下の特性を最適化することができます。複数の特性を同時に最適化することもできます。

5. 計算例

(1)EEM-MOM 八木アンテナ

利得を最大にし、入力インピーダンスを50Ωにします。
最適化するパラメータは各素子の長さと間隔。ただし上下対称。M素子では2M-1個。
素子数
計算結果
最適形状E面パターン(-15〜+15dBi)H面パターン(-15〜+15dBi)
3素子
利得=8.5dBi
Zin=50.0+0.1jΩ
4素子
利得=10.1dBi
Zin=50.0+0.0jΩ
5素子
利得=11.8dBi
Zin=49.9+0.0jΩ

(2)EEM-MOM ヘリカルアンテナ

円偏波にします。グランド板付き。
最適化するパラメータは半径、巻数、高さの3つ。
計算結果 最適形状XZ面パターン(-25〜+5dBi)全方向パターン
軸比=0.0dB
利得=2.2dBi

(3)EEM-FDM フィルタ

ある帯域(f=5,6,7GHz)で透過係数(S21)を最小にします。
最適化するパラメータは3つの長さ。
最適形状Sパラメータ周波数特性(2-10GHz)

(4)EEM-FDM マイクロストリップアンテナ

ある周波数(f=5GHz)での反射係数(S11)を最小にします。
最適化するパラメータは3つの長さ(下図の3つの矢印)。
最適形状反射係数(S11)周波数特性(4-6GHz)