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仮想抵抗について(2)

誘電体の比誘電率が大きいときは、
(1)表面で強い反射が発生し、誘電体が共振器の性質を持つ。
(2)誘電体の内外の波長の不連続度が大きい。
などの理由で時間領域差分法の収束が遅くなる傾向があります。
アンテナの場合は、このようなとき、仮想抵抗を用いると収束が早くなります。

図1は参考文献のモデルです。グランド板の上に直方体の誘電体(比誘電率=12)を置き、 その中心の下からアンテナが挿入され、根元で給電されています。
このケースでは比誘電率が高いので収束が遅く、途中で打ち切ると(タイムステップ数=3000)、 図2bのように周波数特性に比物理的な振動が見られます。
精度よく計算するには図3のようにタイムステップ数を十分大きく(30000)とる必要があります。
このようなとき、仮想抵抗を用いると、少ないタイムステップ数で計算することができます。
図4、図5はタイムステップ数3000で、仮想抵抗=10,40Ωとした結果です。 仮想抵抗を大きくするほど、収束が早まることがわかります。
入力データ

図1 計算モデル

図2a 収束状況、仮想抵抗なし、タイムステップ数=3000

図2b 同左、反射損失周波数特性(2-6GHz)

図3a 収束状況、仮想抵抗なし、タイムステップ数=30000

図3b 同左、反射損失周波数特性(2-6GHz)

図4a 収束状況、仮想抵抗=10Ω、タイムステップ数=3000

図4b 同左、反射損失周波数特性(2-6GHz)

図5a 収束状況、仮想抵抗=40Ω、タイムステップ数=3000

図5b 同左、反射損失周波数特性(2-6GHz)

[1] 野村壮史 他「FDTD法を用いたトポロジー最適化によるアンテナ設計手法」 電子情報通信学会論文誌 Vol.J89-B No.12 pp.2196-2205 Dec 2006.