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仮想給電点を用いた伝送線路の計算

伝送線路の計算では励振方法が問題になりますが、 EEM-FDMでは線路上の一点に電圧波源(給電点)を設定し、しばらく伝送させて 線路の固有モードになった後にデバイスを接続するという方法を使っています。
このような固有モードを作るための給電点を仮想給電点と呼んでいます。
仮想給電点は境界の少し内側に置きます。
波源から両方向に出た波の一方は境界に到達して吸収境界条件で吸収されます。 準TEM波はMur一次でもよく吸収されます。
他方がデバイスに入射します。その手前に観測点1を置くと、進行波と後退波に分解され、 反射係数S11が計算されます。
デバイスの出口に観測点2を置くと透過係数S21が計算されます。
仮想給電点の断面内の位置については、線路の固有モードを考慮して適当に決めます。
例えばマイクロストリップ線路では線路中央に垂直方向に電圧を与えると固有モード と相性がいいので、すみやかに固有モードになります。

図1は最も簡単な、デバイスのない線路単体のモデルです。
赤色が(仮想)給電点、緑色が観測点1です。
これにガウスパルスを励振したときの、全領域の平均電磁界の時間変化が図2です。
図のAが、パルスがピークに達した時刻です。
その後、半分が吸収境界条件で吸収され、 残りが線路を伝搬します。このときは放射がないので、電磁界は一定です。(図のB)
その後、波が境界に到達すると吸収境界条件で吸収され、 系全体の電磁界が小さくなります。(図のC)
最後に残った電磁界は計算誤差です(図のD)。図ではCより2桁小さくなっています(約1%)。
図3は観測点の電圧(黒)、電流(赤)の時間波形です。 図2のBの後半の時刻にパルスが到達し電圧が最大になることがわかります。 その後、境界で反射した波(2桁小さい誤差)が観測されます。
図4は観測点での反射係数S11の周波数特性です。1-10GHzで-40dB以下となることが わかります。この大きさは上で誤差が1%(=-40dB)であったことに対応しています。

なお、[計算方法]で[時間領域(正弦波)]または[周波数領域]を選択しても 同じ結果が得られますが、計算時間が周波数の数に比例しますので、 一般に伝送線路の計算では計算が一回ですむ[時間領域(パルス)]が有利です。

入力データ

図1 伝送線路の基本モデル(マイクロストリップ線路)

図2 平均電磁界の時間変化

図3 観測点の電圧・電流の時間波形

図4 S11の周波数特性(1-10GHz)