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薄い誘電体膜の計算

薄い誘電体膜を計算する場合、そのままの厚さを入力すると、小さなメッシュが必要になり、 安定性条件からタイムステップが小さくなり、タイムステップ数、従って計算時間が増えます。

このようなケースでは以下で考えるようにスケール則を用いると、 計算結果を変えずに大きなメッシュのまま計算することができます。

図1のようなモデルを考えます。薄い誘電体膜をはさんで2本のダイポール(長さ50mm)を置きます。 一方のダイポールを給電し、他方のダイポールの中心に50Ω抵抗を入れ、結合度を計算します。 結合度の低下が誘電体膜の損失を表します。

図2は、誘電体の導電率=0(一定)とし、比誘電率を上から順に1,2,3と変えたものです。 結合度の周波数特性(2-4GHz)を表します。 図より結合度は比誘電率にほとんど無関係であることがわかります。

図3は、誘電体の比誘電率=1(一定)とし、導電率を上から順に0,1,2,3[S/m]と変えたものです。 図より結合度[dB]は導電率にほぼ比例することがわかります。

図4は、誘電体の物性値を一定(比誘電率=1、導電率=1[S/m])とし、厚さを上から順に0,2,4,6[mm]と変えたものです。 図より結合度[dB]は厚さにほぼ比例することがわかります。

以上から、誘電体膜の損失は導電率と厚さの積に比例することがわかります。 この性質(スケール則)を用いると、薄くて導電率の大きい誘電体を厚くて導電率の小さい誘電体で 代用することできます。

図5は、(i)導電率=1S/m,厚さ=2mm、(ii)導電率=2S/m,厚さ=1mm、 (iii)導電率=4S/m,厚さ=0.5mm、(iv)導電率=8S/m,厚さ=0.25mmの四つのケースの計算結果です。 図より、導電率と厚さの積が一定のとき、誘電体膜の損失は変わらないことがわかります。 計算時間はほぼ厚さに反比例します。

◆入力データ: (i)(iv) (右クリック+保存)


図1 計算モデル、薄い誘電体膜と2本のダイポール

図2 比誘電率の影響(比誘電率=1,2,3、導電率=0、厚さ=2mm)

図3 導電率の影響(導電率=0,1,2,3[S/m]、比誘電率=1、厚さ=2mm)

図4 厚さの影響(厚さ=0,2,4,6mm、比誘電率=1、導電率=1[S/m])

図5 スケール則(導電率X厚さ=一定=2[S/m*mm]、比誘電率=1)