4.10 FDTD法との比較

表4-10-1に本方法がFDTD法より優れている点をまとめます。

表4-10-1 本方法がFDTD法より優れている点
比較項目本方法FDTD法
基礎方程式の次元 3次元空間 3次元空間+時間の4次元
負の誘電率の扱い 負の誘電率をそのまま代入することができる 分散性媒質として解析する必要がある
インダクタLの扱い 負の誘電率を入力するだけでよい その点の電界の履歴を保存する必要がある
斜め入射の周期境界条件 実装が容易 実装が難しい
散乱問題の計算 反復計算の前に右辺ベクトルを変えるだけでよい 差分スキームに付加項が加わり毎時刻計算が必要である
PML 余分な配列が不要で通常スキームと同じ扱いができる PML層内で電磁界を2成分に分け余分な配列が必要である
低周波の計算時間 周波数が低くなると計算時間は同じか短くなる 安定性条件のために周波数に反比例して計算時間が増大する

表4-10-2にFDTD法が本方法より優れている点をまとめます。

表4-10-2 FDTD法が本方法より優れている点
比較項目本方法FDTD法
周波数特性の計算 周波数を変えて繰り返し計算する必要がある 一度の計算で求めることができる
必要メモリー 342*Nx*Ny*Nz バイト(倍精度が必要) 30*Nx*Ny*Nz バイト(単精度でよい)
計算時間 同じNx,Ny,Nz,反復回数ならFDTD法の数十倍の計算時間が必要 同じNx,Ny,Nz,反復回数なら本方法の数十分の1の計算時間ですむ
収束性 入力データによっては発散することがある 常に収束する強靭なアルゴリズムである
時間波形 計算することが困難 直接計算されている

本方法の周波数領域とFDTD法の時間領域は互いに双対関係にありますので、 一方が苦手な問題は他方で補うことができます。 問題に応じて適当な方を選んでください。
表4-10-3に本方法とDTD法の共通点をまとめます。

表4-10-3 本方法とFDTD法の共通点
項目特徴
計算精度 Maxwell方程式を同じYee格子と差分法で解くために計算結果は基本的に一致する
高速化 OpenMP,MPI,CUDAで容易に高速化することができる
吸収境界条件 精度のよいPMLを使用することができる
入力データ ほぼ共通化することができる
出力結果 ほぼ同様のものが出力される