7.3 扇型アンテナ

広帯域特性を有する扇型アンテナを考えます。([9] Chapter6)
図1の4ケースを考えます。すべて赤い給電点の下に無限に広いグラウンド板があります。
本ケースはデータ作成ライブラリを使用しています。
本ケースは行列の性質が悪いので倍精度で計算する必要があります。
Aは3角形の上に丸いキャップを置いたものです。
BはAの3角形を横方向に丸くしたものです。
Cは放射パターンを水平面内無指向性(オムニ)にするために交差方向にも扇型を配置したものです。
Dは側面に円形ループを接続したものであり、以下で見るように特定の周波数で遮断されます。
外形寸法は4ケースとも同じく高さ=43.7mm、幅=37.5mmです。


図1 アンテナ形状

図2はVSWRです。
Aでは1.8GHz以上でVSWRが2以下となり、BとCではVSWRが1.5以下になります。
Dでは特定の周波数(5.2GHz)でVSWRが大きくなります。 Dのループの周囲長は2π*18.75=117.8mmであり、これはこの周波数の波長57.7mmの2.04倍です。
なお、入力インピーダンスは給電点の導線半径で変わります。上の例では要素長3mmの半分1.5mmとしています。


図2 VSWR(1〜11GHz, Z0=50Ω)

図3〜図6に放射パターンを示します。
図3,4は低い周波数(3.1GHz)、図5,6は高い周波数(10.6GHz)です。 図3,5はアンテナB、図4,6はアンテナCです。 図の左はXZ面、右はθ=30度面(コニカル面)です。 動径方向のスケールはすべて同じ(-30〜+10dBi)です。
図3右と図5右からアンテナBではφ(方位角)によって1dB程度の変動が見られますが、 図4右と図6右からアンテナCではほぼ0dBに近いことがわかります。 また交差偏波成分(水平成分=φ成分:青)が小さくなることがわかります。


(a) XZ面

(b) θ=30度面
図3 アンテナBの低周波での放射パターン (3.1GHz)

(a) XZ面

(b) θ=30度面
図4 アンテナCの低周波での放射パターン (3.1GHz)

(a) XZ面

(b) θ=30度面
図5 アンテナBの高周波での放射パターン (10.6GHz)

(a) XZ面

(b) θ=30度面
図6 アンテナCの高周波での放射パターン (10.6GHz)

◆入力データ(右クリック+[保存])
Fan_triangle.omm, Fan.omm, Fan_X.omm, Fan_X_W.omm

◆データ作成ライブラリ用ソースコード(右クリック+[保存])
Fan.c


図7はアンテナBをOpenFDTDとOpenMOMで計算した結果です。
低周波で違いが見られますが、高周波では広い帯域で整合がとれていることが一致しています。


図7 VSWRのOpenFDTDとOpenMOMの比較(アンテナB, 1〜11GHz, Z0=50Ω)