3.3 入力データ作成

OpenMOMの入力データは一つのテキストファイルです。
リスト3-3-1に一例を示します。

最初の行
最初の行は必ず"OpenMOM 1 3"としてください。ここで数字は書式のバージョンを表します。 OpenMOMのデータは上位互換性があります。すなわち古いバージョンのデータは新しいバージョンでも使えます。

最後の行
最後の行は必ず"end"としてください。 この行の下は読み込まれませんので、コメントやデータの一時退避に使用することができます。

データ本体
最初の行と最後の行以外がデータの本体です。書式は
キーワード = データ1 データ2 ...
となります。キーワードはすべて小文字です。データは数値または文字列です。 等号"="の前後とデータの間には1個以上のスペースを置いてください。
データの入力順は任意ですが、リスト3-3-1の順を推奨します。

コメント行
最初の文字が"#"である行はコメント行です。その行は飛ばされます。

行内コメント
所定の数のデータの後ろに1個以上の空白の後に任意のコメントを入力することができます。


リスト3-3-1 入力データの一例
OpenMOM 1 3
#title = dipole antenna
geometry = 1 13 -0.025 0.025 0 0 25
#name = ダイポール
feed = 1 0
#radius = 0.0005
frequency = 3.0e9 3.0e9 0
#z0 = 50
#radiusall = 2 0.2
#geom3dnode = 0.05 1 0
#plotcurrent = 1
#plotfrequency = 1 1 1 1
#plotfar1d = Z 72
#far1dstyle = 0
#far1dcomponent = 1 0 0
#far1ddb = 1
#far1dscale = -30 10 4
#plotfar2d = 18 36
#far2ddb = 1
#far2dscale = -30 10
#plotnear1d = E 0.05 0.05 0 0 -0.05 0.05 100
#near1ddb = 1
#near1dscale = -30 10 0
#plotnear2d = E X 0.05 -0.05 0.05 -0.05 0.05 20 20
#nead2ddb = 1
#near2dscale = -30 10 0
#near2dobj = 1
#window2d = 750 500 12
#window3d = 500 500 60 30
end

入力データの書式と意味

表3-3-1と表3-3-2に入力データの書式と意味を示します。
ここでは説明の都合上計算部とポスト処理部に分けていますが、 データファイルは両者が結合したものです。 データの並びは任意でかまいませんが以下の順序を推奨します。
"必須"は1個以上必要なデータです。 これが入力されていないときはメッセージを出して計算が終了します。
"オプション"は入力しないときは既定値が代入されるデータです。
書式の"R I C"は順に実数、整数、文字列です。 "[]"はデータ数が可変であることを表します。
実数のところに整数を入力すると実数とみなされます。例えば"1"は"1.0"となります。
単位はすべてMKSA単位系です。角度の単位は度です。

表3-3-1 入力データの書式と意味(計算部)
No.キーワード必須/オプション書式(R:実数,I:整数,C:文字列)意味
(1)titleオプション任意の文字列(空白も含む)タイトル
(2)geometry必須I1 I2 R1 R2 R3 R4 [R5 R6 R7 R8 R9 R10 R11 R12] I1 [I2 I3]物体形状(複数行可)
(3)feed必須R1 R2給電点(直前のgeometryに対する)
(4)loadオプションI1 R1負荷(直前のgeometryに対する)
(5)radiusオプションR1導線半径(直前のgeometryに対する)
(6)offsetオプションR1 R2 R3平行移動量(直前のgeometryに対する)
(7)nameオプション任意の文字列(空白も含む)名前(直前のgeometryに対する)
(8)groundオプションI1グラウンド板の有無(1/0)
(9)frequency必須R1 R2 I1周波数
(10)radiusallオプションI1 R1導線半径の既定値
(11)z0オプションR1給電線の特性インピーダンス[Ω]
(12)geom3dnodeオプションR1 I1 I2形状出力図の要素の両端の印の大きさ

表3-3-2 入力データの書式と意味(ポスト処理部)
No.キーワード必須/オプション書式(R:実数,I:整数,C:文字列)意味
(13)plotcurrentオプションI1電流分布(0/1) (2D)
(14)plotfrequencyオプションI1 I2 I3 I4周波数特性(0/1) (2D)
(15)plotfar1dオプションC1 I1 [R1]遠方界面(複数行可) (2D)
(16)far1dstyleオプションI1遠方界面の出力形式(0/1)
(17)far1dcomponentオプションI1 I2 I3遠方界面の成分(0/1)
(18)far1ddbオプションI1遠方界面の単位(0/1)
(19)far1dscaleオプションR1 R2 I1遠方界面のスケール
(20)plotfar2dオプションI1 I2遠方界全方向 (3D)
(21)far2dcomponentオプションI1 I2 I3 I4 I5 I6 I7遠方界全方法の成分(0/1)
(22)far2ddbオプションI1遠方界全方向の単位(0/1)
(23)far2dscaleオプションR1 R2遠方界全方向のスケール
(24)plotnear1dオプションC1 R1 R2 R3 R4 R5 R6 I1近傍界観測線(複数行可) (2D)
(25)near1ddbオプションI1近傍界観測線の単位(0/1)
(26)near1dscaleオプションR1 R2 I1近傍界観測線のスケール
(27)plotnear2dオプションC1 C2 R1 R2 R3 R4 R5 I1 I2近傍界観測面(複数行可) (2D+3D)
(28)near2ddbオプションI1近傍界観測面の単位(0/1)
(29)near2dscaleオプションR1 R2 I1近傍界観測面のスケール
(30)near2dobjオプションI1近傍界観測面に物体を描くか(0/1/2)
(31)window2dオプションI1 I2 I32Dウィンドウサイズ、フォントサイズ
(32)window3dオプションI1 I2 R1 R23Dウィンドウサイズ、初期視点のθとφ

入力データの詳細

(1)title
空白を含む任意の文字列を入力することができます(日本語も可能です)。 タイトルは標準出力と図形出力に表示されます。データの管理に使ってください。

(2)geometry
幾何形状の一つの単位です。以下ユニットと呼びます。
I1=1のとき線状ユニット、I1=2のとき面状ユニットです。
I2は形状番号です。形状番号の意味と必要な座標データは以下の通りです。 図3-3-1と図3-3-2も参考にしてください。

線状ユニット(I1=1)のとき:

面状ユニット(I1=1)のとき:
ここでN12は点1から点2方向の分割数、N14は点1から点4方向の分割数、 NX, NY, NZ, Nρ, Nr, Nθ, Nφは各座標方向の分割数です。
円筒座標系は(ρ,φ,Z)、極座標系は(r,θ,φ)となります。角度θとφの単位は度です。
面状ユニットの"直方体"は6個の面状ユニットに分解されます。

(3)feed
直前に入力したgeometryに給電点を設定します。
R1=電圧[V]
R2=位相[度]
線状ユニットのみに有効で、給電点の位置は線状ユニットの中心です。

(4)load
直前に入力したgeometryに負荷を設定します。
I1=1のときR1=抵抗R[Ω]
I1=2のときR1=インダクタL[H]
I1=3のときR1=キャパシタC[F]
線状ユニットのみに有効で、負荷の位置は線状ユニットの中心です。

(5)radius
直前に入力したgeometryの導線半径です。 入力しないときは(10)が適用されます。

(6)offset
直前に入力したgeometryを順にX,Y,Z方向に平行移動します。 既定値は"0 0 0"です。

(7)name
直前に入力したgeometryの名前です。 データの管理に使用してください。計算には無関係です。

(8)ground
I1=0/1 : グラウンド板の無/有、グラウンド板はZ=0面の無限大の広さの完全導体とします。

(9)frequency
R1=開始周波数、R2=終了周波数、I1=周波数分割数です。
周波数の数は周波数分割数+1になります。 単一周波数のときは周波数分割数を0にしてください。

(10)radiusall
(5)で導線半径が指定されていないgeometryの導線半径を指定します。
I1=1のときR1=導線半径
I1=2のときR1=導線半径/要素長[無次元]
既定値は"2 0.2"です。

(11)z0
給電線の特性インピーダンスです。反射損失に使用されます。既定値は"50"です。

(12)geom3dnode
形状データ出力図(geom3d.htm)の線状要素の両端に記す印の大きさと対象です。
R1=印の大きさ(要素長との相対比)。
I1=1のとき線状ユニットに適用されます。
I2=1のとき面状ユニットに適用されます。
既定値は"0.05 1 0"です。

(13)plotcurrent (2D)
電流分布を図形出力するかどうか指定します。既定値は"0"です。
数値出力は常にcurrent.logに出力されます。

(14)plotfrequency (2D)
周波数特性を図形出力するかどうか指定します。既定値は"0 0 0 0"です。
I1=1のときスミスチャートを図形出力します。
I2=1のとき入力インピーダンスの周波数特性を図形出力します。
I3=1のとき入力アドミッタンスの周波数特性を図形出力します。
I4=1のとき反射損失の周波数特性を図形出力します。
数値出力は常にomm.logに出力されます。

(15)plotfar1d (2D)
遠方界の指定した面の指向性パターンを図形出力します。
C1はX/Y/Z/V/Hのいずれかであり、それぞれX面/Y面/Z面/φ一定面/θ一定面を表します。
I1は全方向360度の分割数です。
C1がV/HのときはR1が必要です。それぞれ一定値のφ/θ[度]を意味します。

(16)far1dstyle
遠方界面の図形出力の形式を指定します。0:円プロット(既定値), 1:XYプロット

(17)far1dcomponent
遠方界面の図形出力の成分を指定します。
I1=1のときθ成分とφ成分を図形出力します。
I2=1のとき楕円偏波の主軸と副軸を図形出力します。
I3=1のとき左右円偏波成分を図形出力します。
既定値は"1 0 0"です。
なおfar1d.logへの数値出力は常に全成分が出力されます。

(18)far1ddb
遠方界面の図形出力の単位を指定します。
I1=0:線形、I1=1:dB
既定値はdBです。

(19)far1dscale
遠方界面の図形出力のスケールを指定します。
R1=最小値
R2=最大値
I1=分割数
既定値は適当なスケールが割り当てられます。

(20)plotfar2d (3D)
遠方界の全方向の指向性パターンを図形出力します。
I1はθ方向(0-180度)の分割数、I2はφ方向(0-360度)の分割数です。

(21)far2dcomponent
遠方界全方向の図形出力の成分を指定します。
I1=1のとき絶対値を図形出力します。
I2=1のときθ成分を図形出力します。
I3=1のときφ成分を図形出力します。
I4=1のとき楕円偏波の主軸を図形出力します。
I5=1のとき楕円偏波の副軸を図形出力します。
I6=1のとき右旋円偏波成分を図形出力します。
I7=1のとき左旋円偏波成分を図形出力します。
既定値は"1 0 0 0 0 0 0"です。
なおfar2d.logへの数値出力は常に全成分が出力されます。

(22)far2ddb
遠方界全方向の図形出力の単位を指定します。
I1=0:線形、I1=1:dB
既定値はdBです。

(23)far2dscale
遠方界全方向の図形出力のスケールを指定します。
R1=最小値
R2=最大値
既定値は適当なスケールが割り当てられます。

(24)plotnear1d (2D)
近傍界の指定した線分上の電界または磁界の分布図を図形出力します。
C1=EのときEとEx,Ey,Ezの振幅を図形出力します。ここでEはEベクトルの合成値です。
C1=Ex/Ey/EzのときそれぞれEx/Ey/Ezの振幅と位相を図形出力します。
C1=HのときHとHx,Hy,Hzの振幅を図形出力します。ここでHはHベクトルの合成値です。
C1=Hx/Hy/HzのときそれぞれHx/Hy/Hzの振幅と位相を図形出力します。
(R1,R2)は始点と終点のX座標、(R3,R4)は始点と終点のY座標、(R5,R6)は始点と終点のZ座標、 I1は2点の分割数です。
なお数値出力near1d.logの成分は、C1=E/Ex/Ey/EzのときはEの全成分、C1=H/Hx/Hy/HzのときはHの全成分です。

(25)near1ddb
近傍界観測線の図形出力の単位を指定します。
I1=0:線形、I1=1:dB
既定値は線形です。

(26)near1dscale
近傍界観測線の図形出力のスケールを指定します。
R1=最小値
R2=最大値
I1=縦軸の分割数
既定値は適当なスケールが割り当てられます。

(27)plotnear2d (2D+3D)
近傍界の指定した面上の電界または磁界の分布図を図形出力します。
C1はE/Ex/Ey/Ez/H/Hx/Hy/Hzのいずれかです。ここでE/Hはベクトルの合成値です。 E/Hのときは1ページ、Ex/Ey/Ez/Hx/Hy/Hzのときは振幅と位相の2ページが図形出力されます。
C2はX/Y/Zのいずれかであり、それぞれX一定面/Y一定面/Z一定面を表します。
C2=XのときR1=X座標、(R2,R3)=Y座標の範囲、(R4,R5)=Z座標の範囲、I1=Y方向分割数、I2=Z方向分割数
C2=YのときR1=Y座標、(R2,R3)=Z座標の範囲、(R4,R5)=X座標の範囲、I1=Z方向分割数、I2=X方向分割数
C2=ZのときR1=Z座標、(R2,R3)=X座標の範囲、(R4,R5)=Y座標の範囲、I1=X方向分割数、I2=Y方向分割数
なお数値出力near2d.logの成分は、C1=E/Ex/Ey/EzのときはEの全成分、C1=H/Hx/Hy/HzのときはHの全成分です。

(28)near2ddb
近傍界観測面の図形出力の単位を指定します。
I1=0:線形、I1=1:dB
既定値は線形です。

(29)near2dscale
近傍界観測面の図形出力のスケールを指定します。
R1=最小値
R2=最大値
I1=色の数(0のとき連続色:推奨)
既定値は適当なスケールが割り当てられます。

(30)near2dobj
近傍界観測面の図形出力に物体を描きます。
I1=0:描かない
I1=1:物体の周囲のみを描く
I1=2:すべての線状要素を描く
既定値は"1"です。

(31)window2d
図形出力2Dウィンドウの描画領域の大きさとフォントサイズを指定します。
I1=幅
I2=高さ
I3=フォントサイズ
単位はピクセルです。既定値は"750 500 15"です。幅と高さの比は3:2を推奨します。

(32)window3d
形状出力3Dウィンドウの大きさと初期視点を指定します。 I1=幅
I2=高さ
I3=初期視点のθ[度]
I4=初期視点のφ[度]
幅と高さの単位はピクセルです。既定値は"500 500 60 30"です。


図3-3-1 線状ユニットの形状番号と入力座標


図3-3-2 面状ユニットの形状番号と入力座標