2.6 散乱特性

(1) 平面波入射

図2-1-1のように物体の一部に給電点を置くアンテナモデル以外に、 外部から平面波が入射するモデルを考えることができます。
原点から見た平面波の入射方向を(ri, θi, φi) とすると、入射電磁界は次式で計算されます。

(2-6-1)
(2-6-2)

式(2-6-1)の最後の式は楕円偏波を表し主軸と副軸の単位ベクトルM,mは図2-6-1の通りです。 すなわち主軸がθ方向からφ方向に傾いた角をαとし、軸比をr=m/Mとします(-1≤r≤+1)。 r>0のとき右旋、r<0のとき左旋となります。 特別なケースとして垂直偏波はα=0,r=0、水平偏波はα=90,r=0、 右旋円偏波はα=0,r=1、左旋円偏波はα=0,r=-1となります。
式(2-6-1)が式(2-1-3)の第3式のEiになります。
また、2.3の近傍界については2.3の散乱電磁界と本節の入射電磁界を足したものが全電磁界になります。


図2-6-1 楕円偏波の定義 (入射方向から原点を見た図、M:主軸単位ベクトル、m:副軸単位ベクトル)

(2) 散乱断面積

平面波入射のとき、遠方界より次式で散乱断面積が定義されます。(Ei:入射電界の大きさ)

(2-6-3)

次式で前方、後方および全散乱断面積が定義されます。

(2-6-4)
(2-6-5)
(2-6-6)

特に、全散乱断面積と前方散乱電界との間に光学定理と呼ばれる次式の関係式が成り立ちます。
右辺の複号は入射波の偏波方向に対応します。 Plossは式(2-6-8)で定義される抵抗による全損失です。
式(2-6-7)の誤差は計算誤差の指標になります。

(2-6-7)
(2-6-8)