8.11 メタラインアンテナ

メタマテリアルから成るマイクロストリップアンテナを考えます。([9] Chapter19)

(1) 単線メタラインアンテナ

図1にアンテナ形状を示します。
線路の-X端を給電し、+X端を抵抗(80Ω)で終端します。 線路は周期構造をなし、周期(p=10mm)の中の二つのギャップをCでつなぎ、 中央の一つのビアをグラウンド板に接続してその途中にLを直列に接続します。
左手系と右手系の境界になる周波数を推移(transition)周波数fTと呼びます。 ここではfT=3GHzとなるようにパラメーターを設定しています。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=2.0mm,H=1.6mmを代入するとZ0=79Ωとなります。
図2に収束状況を示します。メタマテリアルは一般に収束が遅く、 内部抵抗を使用してもタイムステップ数は100000のオーダーになります。
図3に反射係数を示します。推移周波数付近は遮断周波数となっています。
図4に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。文献[9]のFigure19.6と似ています。 推移周波数以下では後退波により後方に放射し、推移周波数以上では前進波により前方に放射します。
図5,図6に左手系と右手系の周波数におけるEz成分の位相分布を示します。 左はY=0mm,Z=10mmの線上、右はZ=10mmの面上の分布図です。 左の位相(赤線)から左手系では傾きが正、右手系では傾きが負であることがわかります。 右の図からも同じことがわかります。
ここではC,Lは集中定数を使用しましたが、それらを線路(分布定数)で表現する方法もあります[10]。 Cは櫛型線路、Lはスタブ+ビアで表現します。 その場合製作上集中定数は不要になりますが、CとLの評価と小さいセルサイズが必要になり、 計算試行回数、計算時間、使用メモリーは大幅に増えます。


図1 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)


図2 収束状況


図3 反射係数 (2-5GHz. Z0=80Ω)


図4 放射パターン (XZ面)


(a) 線上の振幅と位相

(b) 面上の位相
図5 左手系での電界分布 (Ez成分, 2.4GHz, Z=10mm)

(a) 線上の振幅と位相

(b) 面上の位相
図6 右手系での電界分布 (Ez成分, 3.9GHz, Z=10mm)

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(2) 2線メタラインアンテナ

図7にアンテナ形状を示します。 メタラインを2本平行に並べ、給電点と終端抵抗(50Ω)を交互に配置します。 給電点の位相は互いに逆相とします。
線路の特性インピーダンスは7.6の式(1)にεr=2.6,W=8.8mm,H=3.2mmを代入するとZ0=50Ωとなります。
図8に反射係数を示します。 文献[9]のFigure19.10では2-4GHzにわたってVSWR<2となっていますが結果が一致していません。
図9に各周波数でのXZ面の放射パターンを示します。 ビームの中心は正面方向(+Z方向)になります。 文献[9]のFigure19.8と似ています。
図10に正面方向の利得の周波数特性を示します。 文献[9]のFigure19.9と似ています。


図7 アンテナ形状 (図の使い方は5.4参照)


図8 反射係数 (2-4GHz, Z0=50Ω)


(a) 2.4GHz

(b) 2.6GHz

(c) 2.8GHz

(d) 3.0GHz

(e) 3.2GHz

(f) 3.4GHz
図9 放射パターン (XZ面)


図10 利得の周波数特性 (2-4GHz, θ=0度)

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