OpenFDTDの使用法は、5.3の説明に従って入力データのテキストファイルを作成し、
5.2の説明に従ってコマンドラインで実行することを基本としていますが、
Windows環境では本節のGUI(Graphical User Interface)プログラムを使用すると、
ウィンドウ上でデータ入力、計算実行、結果確認を行うことができます。
GUIプログラムを起動するにはOpenFDTD.exeファイルをダブルクリックしてください。
図5-7-1のウィンドウが開きます。
GUIプログラムの実行には .NET Framework 4.6 以上が必要です。Windows10には標準装備されています。
.NET Framework がインストールされていないときは下記からダウンロードしてインストールしてください。
https://www.microsoft.com/net/download
以下の手順で操作してください。
(注1)
作業中にときどき安全のために[ファイル]→[上書き保存]または[名前を付けて保存]でファイルを保存してください。
(注2)
このウィンドウの属性は左上のアイコンをクリックして[プロパティ]メニューで変更することができます。
特に[オプション]タブの[簡易編集モード]はOFFにしてください。
これを行わないと計算中にウィンドウ内をクリックすると表示が停止します。
その他、ウィンドウサイズ、色、フォントなどを変更することができます。
(注3)
ブラウザで表示するときは毎回新しいタブが開かれます。
それを避けるには現在のタブ上でF5キーを押すと内容が更新されます。
左下にファイル作成日時が表示されますので新しいファイルであることを確認してください。
[全般]タブでは各種のデータを入力します。
各項目とキーワードの対応関係は以下の通りです。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
[メッシュ]タブではメッシュデータを入力します。
各項目とキーワードの対応関係は以下の通りです。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
[物性値]で[物体形状]タブで使用する物性値を登録します。
対応キーワードは"material"です。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
左端をONにするとその行が入力可能になります。上から順に入力してください。
[名前]以外は必須データです。
上から順に物性値番号=2,3,...になります。
物性値番号=0(真空)、物性値番号=1(PEC)は予め登録されていますので入力する必要はありません。
[集中定数]で集中定数(RまたはCまたはL、単位はMKSA)を入力します。
対応キーワードは"load"です。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
左端をONにするとその行が入力可能になります。上から順に入力してください。
[物体形状]タブでは物体の形状データを入力します。
対応キーワードは"geometry"です。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
左でデータを入力し、右の図でデータを確認してください。
左は形状単位(ユニット)ごとにページが変わる方式になっています。
現在のユニット番号が左上に表示され、これが編集の対象になります。
ユニット番号を変更する方法は以下の通りです。
ユニットの編集には以下のボタンを使用します。
現在のユニットの[物性値]、[形状]、[向き](必要なとき)、[座標]を入力してください。
[物性値]のリストは[物性値]タブで入力されたものです。
[形状]と[向き]を変えると入力すべき座標の意味が変わります。
複数のユニットが重複する場所では一番大きいユニット番号の物性値になります。
[名前]はオプションです。データの管理に使用してください。
右の図形表示部の扱い方については[ヘルプ]ボタンを参考にしてください。
波源として[給電点]または[平面波入射]を選択します。
[観測点]で観測点を入力します。
左端をONにするとその行が入力可能になります。上から順に入力してください。
各項目とキーワードの対応関係は以下の通りです。キーワードの意味は5.3を参考にしてください。
[図形出力制御(1)(2)]タブでは図形出力の項目とそのパラメーターを入力します。
()内は対応するキーワードです。
[時間特性(2D)]
[収束状況]:収束状況を出力します。5.5.1を参考にしてください。(plotiter)
[給電点波形・スペクトル]:給電点の時間波形とスペクトルを出力します。5.5.2を参考にしてください。(plotfeed)
[観測点波形・スペクトル]:観測点の時間波形とスペクトルを出力します。5.5.2を参考にしてください。(plotpoint)
[整合損を含む] (matchingloss)
ONにしたとき遠方界の利得に給電点の整合損を含めます。給電点を指定したとき意味があります。
[周波数特性(2D)]
[スミスチャート]〜[結合度]:選択した項目の周波数特性を出力します。第1周波数を使用します。(plotsmith, plotzin, plotyin, plotref, plotspara, plotcoupling)
[遠方界]:指定した方向の遠方界の周波数特性を出力します。第2周波数を使用します。(plotfar0d)
[自動スケール]をOFFにしたときは[最小],[最大],[分割数]を入力してください。
周波数軸の分割数を指定することができます。(freqdiv)
[遠方界面上(2D)] (plotfar1d)
遠方界の面上パターン図を出力します。
複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
5.5.4を参考にしてください。
[面]:
[遠方界全方向(3D)] (plotfar2d)
遠方界の全方向パターン図を出力します。
5.5.5を参考にしてください。
[角度分割数]:θ方向(0-180度)とφ方向(0-360度)の分割数を入力してください。
[成分]:出力する成分を選択してください。(複数選択可) (far2dcomponent)
[スケール]:単位とスケールを設定してください。(far2ddb, far2dscale)
[物体表示]:上書き出力する物体形状の相対的な大きさを指定してください。(far2dobj)
[近傍界線上(2D)] (plotnear1d)
近傍界の線上分布図を出力します。
複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
5.5.6を参考にしてください。
[成分]:E/Ex/Ey/Ez/H/Hx/Hy/Hzから選択してください。
[線の向き]:X方向/Y方向/Z方向から選択してください。線分の範囲は計算領域の端から端までです。
[線の位置]:[線の向き]がX/Y/ZのときそれぞれYZ/ZX/XY座標を入力してください。
[スケール]:単位とスケールを設定してください。(near1ddb, near1dscale)
[入射波を除く]:ONのとき散乱電磁界を図形出力します。平面波入射のとき有効です。(near1dnoinc)
[近傍界面上(2D+3D)] (plotnear2d)
近傍界の面上分布図を出力します。
複数設定することができます。上から順に左端をONにすると入力可能になります。
5.5.7を参考にしてください。
[成分]:E/Ex/Ey/Ez/H/Hx/Hy/Hzから選択してください。
[面の向き]:X面/Y面/Z面から選択してください。面の範囲は計算領域の端から端までです。
[面の位置]:一定のX座標/Y座標/Z座標を入力してください。
[2D/3D]:2D/3Dの図形出力を選択してください。(near2ddim)
[動画2D],[フレーム数]:動画を有効にしてフレーム数を指定します。(near2dframe)
[スケール]:単位とスケールを設定してください。(near2ddb, near2dscale)
[描画方法]:等高線図の描画方法を選択してください。(near2dcontour)
[物体を描く]:ONにすると物体形状が重ね書きされます。(near2dobj)
[入射波を除く]:ONのとき散乱電磁界を図形出力します。平面波入射のとき有効です。(near2dnoinc)
[一部拡大]:面の一部を拡大するときその範囲を指定してください。(near2dzoom)
[図形出力表示2D]をクリックすると図5-7-9が表示されます。使い方は以下の通りです。
ボタン
[|<][<][>][>|]:最初のページ、前のページ、次のページ、最後のページを表示します。
[++]:全ページが一枚に表示されます。
[>>]:動画が連続表示されます。[+],[-]により表示速度を上下できます。
右の2つのボタンにより描画領域をクリップボードと画像ファイルに保存できます。
表示
タイトルバーに現在のページと全ページ数が表示されます。
ステータスバーの内容は順に、ev2ファイル名、ファイルサイズ、作成日時、描画領域のピクセル数です。
[図形出力表示3D]をクリックすると図5-7-10が表示されます。使い方は以下の通りです。
ボタン
[|<][<][>][>|]:最初のページ、前のページ、次のページ、最後のページを表示します。
[X],[Y],[Z]:視点が+X,+Y,+Z方向になります。
[0]:表示が初期状態に戻されます。
[+],[-]:拡大・縮小します。
右の2つのボタンにより描画領域をクリップボードと画像ファイルに保存できます。
マウス
左ボタンをドラッグすると上下左右に回転します。
右ボタンをドラッグすると上下左右に平行移動します。
ホイールを上下に動かすと拡大・縮小されます。
表示
タイトルバーに現在のページと全ページ数が表示されます。
左下にXYZ軸が表示されます。
ステータスバーの内容は順に、ev3ファイル名、ファイルサイズ、作成日時、描画領域のピクセル数、視点の角度です。
(注意)
[オプション]メニューで[図形出力形式][ブラウザ]を選択したときはブラウザに図形出力されます。
[ツール]→[計算設定]メニューをクリックすると図5-7-11の計算設定ウィンドウが開きます。
[ヘルプ]を参考にしてください。
CPU/GPU
計算するハードウェアを[CPU]/[GPU]から選択してください。
CPU
[スレッド数]を設定してください。物理コア数から論理コア数の間の数を推奨します。
GPU
GPUの実行にはNVIDIAのグラフィックスボードとディスプレイドライバが必要です。
[unified memory]は通常OFF、[デバイス番号]は通常0としてください。
MPI
MPIを使用して複数台のコンピュータのCPUまたはGPUで並列計算を行うには[MPI]をONにして、
各ノード(ホスト)の[ホスト名]と[プロセス数]を入力してください。(注1)(注2)(注3)(注4)
最初のノードは自分自身であり[ホスト名]の"localhost"は変更しないでください。
[プロセス数]にはCPUのときは物理コア数から論理コア数の間、
GPUのときはグラフィックスボードの数を推奨します。
GPUのときは計算開始時にウィンドウにデバイス名が表示されますので確認してください。
(注1)
ホスト名はネットワークコンピュータに表示される名前です。
自分のホスト名を知るにはコマンドプロンプトで"hostname"と行ってください。
またホスト名はIPアドレスでも構いません。
(注2)
MPIを使用して複数台のコンピュータで並列計算を行うには
[3]に従って必要な環境をインストールしてください。
(1台のコンピュータで並列計算するときは作業は不要です)
(注3)
1台のコンピュータに複数のグラフィックスボードが実装されているときは、
[MPI]をONにして"localhost"の[プロセス数]にグラフィックスボードの数を入力してください。
(注4)
初回実行時にセキュリティソフトが警告を出したら許可してください。
(MPIは複数のプロセスを起動しますのでマルウェアと認識されることがあります)
その他
すべての設定を初期化するには[初期化]ボタンをクリックしてください。
計算設定ウィンドウの設定はアプリケーション単位で管理され、個々の入力データには保存されません。
[ツール]→[オプション]メニューをクリックすると図5-7-12のオプションウィンドウが開きます。
使い方については[ヘルプ]を参考にしてください。
設定を初期化するには[初期化]をクリックしてください。
[数値出力]メニューをクリックすると、
それぞれの数値出力ファイルを読み込んでテキストエディタが開きます。
それぞれのファイルの意味は5.6を参考にしてください。